リクエは2017年に創業して以来、従来のドライクリーニングで使用していた化石燃料由来の「石油系溶剤」不使用をミッションに、水洗いのみでのクリーニングにこだわってきました。
2020年以降サステイナブルというワードが広く一般にも知られるようになり、リクエの「ドライじゃないクリーニング」「100%水洗いクリーニング」にも注目度が高まり、個人のお客様やファッション業界のPR・マーケティング担当者の方々からサービスに対するお問合せを頂く機会が増えてきました。
その中で、「どうして水洗いのみのクリーニング工場を創業しようと考えたのか?」というご質問を多くいただきます。24年前に会社を設立し、創業当時のサービスはアパレル業でした。そこから「洗濯代行サービスWASH&FOLD」を提供するなかで感じたこと、考えてきたことを今回シェアさせて頂こうと思います。

 

 

ドライクリーニング vs 水洗いクリーニング

①そもそも水洗いとドライクリーニングの違いは?

ドライクリーニングとは、「水を使わないで洗う」洗濯方法です。
石油系溶剤や有機溶剤などと呼ばれる液体の中で衣類を洗います。
石油系溶剤は「油」の中で衣類を洗うに近い考え方です。
石油系溶剤を使うドライクリーニぐの特徴は、衣類の繊維の形を変えないで洗うことが出来るため、多くの衣類を”処理”することが可能です。
対して、水洗いはご家庭のお洗濯のように「水」で洗うことを指します。
大きな違いは汚れ落ちです。
臭いのもとになる汗や皮脂などは”水溶性の汚れ”と分類されるもので、油に溶けないためドライクリーニングで洗ったとしても、落ちません。
学生時代の制服でお尻や太ももの部分がピカピカ、テカテカしているのはこの”水溶性の汚れ”が落ちずに蓄積して起こることが多いです。
本質的な洗浄力は水のほうが圧倒的に高いです。

 

 

水」本来の洗浄力の高さ

②ドライクリーニングで”汚れが落ちない?”ではなぜドライクリーニングがこんなにも一般的なのか?

ドライクリーニングが日本に伝わったのは、明治時代と言われています。
意外と歴史が長いのですが、昭和に入り1955年(昭和30年)以降高度成長期に入り、自営業者の割合が人口の半数以上を占めていた時代から、会社に所属する働き方が増えてきたタイミングで「スーツ」などビジネスシーンで着用する機会が増えドライクリーニングの需要が非常に高まりました。
時代は高度成長期で大量消費の時代に入ったこともあり、「洗濯」の本質的なあり方よりは1点1点の処理スピードが早く、大量消費することで単価を下げやすいドライクリーニングを提供する事業者が増えてました。
ドライクリーニングでしか洗濯できない衣類があるのでは?と考える人も多くいますが、ドライクリーニングの登場前から洗濯を生業にする人がいたことを考えると、手間はどうしてもかかるが水で洗うことのできない衣類は本来ないと私たちは考えています。

 

 

そもそもドライクリーニングの目的とは?

③ドライクリーニングは不要か?

ドライクリーニングの悪い点を書きましたが、ドライクリーニングの「繊維の形を変えない」という特性は昨今のファッションの多様化に対応するには、ある種適した方法でもあります。
ただし、ドライリーニングの工場の多くは「大量に洗濯し、手間をかけずに大量に処理し、出荷する」ことを得意とすることで成長を続けてきました。
今浸透してきているサステイナブルやエシカルという考え方の中にある、1点1点の商品の作られた背景や利用者の方のストーリー(思い)を重視するような商品を扱いたいと本気で考えた場合、ドライクリーニングの従来の方法では無理がありました。

 

 

クリーニング事業の持続可能性とは

④クリーニング業界の現状

クリーニング業界は平成10年あたりを目途に業界全体が下降していきます。
ここ30年でクリーニング業界の事業所数は60%(16万件→8万件以下)、クリーニングの取次店においても約5万件から2万件程度まで減少しています。

 

30 年間で全体の60%以上減少 厚生労働省の「衛生行政報告例」において、クリーニング施設数の推移をみると「一般クリーニング所」の数は、一貫して減少を続け、平成27年には29,423と平成2年からの25年間で▲45.0%となっている。長期にわたる市場縮小傾向に伴って、新規参入が少なく、転廃業が多いことが要因と思われる。

 

その背景には、ファストファッションの台頭やニーズの低下など多くの理由があると考えられていますが、やはり大きくは石油系溶剤を含む資材の高騰と大量生産で低価格競争をしていた業界全体が利益構造の改革に対応できなかったことが多くの要因です。
石油などの価格が高騰することで多く、ドライクリーニングの「水」である有機溶剤の価格はうなぎのぼりに上がっています。それだけでなくビニールやプラスチックハンガーなど石油に由来する資材が多くあるクリーニング店においては大きな負担となっていました。
そんな中2019年に東京都で施工された条例で「パークロロエチレン」と言われる有機溶剤の一種が特定有害物質に指定され、クリーニング店を閉業または用地を売却する場合には地質調査が求められるようになりました。
これは作業の中でパークロロエチレンが土壌に浸透する危険性があることから来ている条例ですが、土地によっては検査から浄化対策までに数年の時間と数千万円単位の費用がかかります。

 

条例が近年制定され、廃業もしくは売却時に多額の費用がかかる もう一つの理由、 土壌汚染に関する厳しいルール。 パークロロエチレン(テトラクロロエチレン)などの特定有害物質を使用している場合、クリーニング店を閉業・売却する際に土壌汚染検査や浄化対策が求められるケースが増えている。

 

 

ファッションが好きだから、それが原点

⑤ファッションを楽しむためのプロのクリーニング技術が失われてしまう危機感

クリーニング業界を取り巻く環境は非常に厳しく、これから20年後に自分たちが好きなファッションを楽しむために、プロのメンテナンスを提供する技術者がいなくなってしまうのではないか?という危機感がありました。
事実クリーニングに近い業態の「裁縫業界」。
今では、衣類の製造を海外の工場で行うことが多くなった結果、洋服の国内需給率は2.4%に低下しています。
メイドインジャパンの熟練の技術を持つ個人は確かに存在するものの、業界全体として日本の裁縫業界が世界で一番ということは言えなくなってきています。
国内で衣類を製造することが難しくなったように、高品質でしかも比較的リーズナブルなクリーニングを利用するために海外の工場を利用しなくてはいけないという極端な未来もあり得るかもしれないという危機感があります。

 

このままだと・・・ 1店舗や取次店の減少 2 経験豊富な技術者 次世代の後継者の減少 3 業界全体のクオリティの低下 本当に愛着を持った洋服をクリーニングでキレイにするための選択肢が少なくなる

 

 

 

リクエが提示する解決策(今のところ)

⑥ファッションが好きだからこそ、これからも持続可能性(サステイナブル)なクリーニングを考えた結果

これからもファッションを楽しみ多くの方のためにクリーニングサービスを安定的に提供するために我々が考えたのが「100%水洗いクリーニング リクエ」です。
そのために下記の事を念頭に置き事業を組み立てました。

①従来の石油由来の有機溶剤に依存しないクリーニング手法

100%水洗いにすることで洗濯前の処理時間、乾燥時間、仕上げ時間は従来の2.5倍に増えましが、水洗いでも5年間サービスを提供してきた実績を創ることが出来ました。

 

水洗い500分ドライ200分 水洗いクリーニングとドライクリーニングの作業工程の中での大きな違いは、 ①洗濯②仕上げ に多くの時間がかかる点です。 洗い上がり時にほぼ揮発し、変形の少ないドライに比べ、水洗いは静止乾燥とテーラードプレスに多くの時間と手間が必要になります。

 

②従来の大量生産を前提としたクリーニング価格にとらわれない料金設定

スーツ1着900⁻1200円というのが一般的なドライクリーニング業界において、リクエでは1着3580円頂戴しています。今後もより広く皆様にご理解とご利用を頂けるようにこのコンセプトを広めていきます。

③次世代のために環境問題に最大限配慮すること

環境問題は1方向からの見方では語りきれない多くの課題があります。ただし、出来る範囲での取り組みでは大きなインパクトを生むことが出来ないため、衣類の廃棄問題で悩むアパレル業界と取り組むことで大きなインパクトが産めるように事業を拡大しています。

④二酸化炭素排出量の削減

二酸化炭素の排出を0にはできていません。ただし、石油系溶剤を不使用にしたことで、クリーニング使用後の石油系溶剤を循環させ再利用する際に発生する二酸化炭素を年間8,000㎏削減しています。これは人ひとり分の4.3年分排出量に相当します。

 

一人当たりの年間CO2排出量 約1,859(kgCO2/人) Licueで削減している年間8,000kgを1人当たりに換算すると約4.3年分/人の削減と同等になる。 現在、石油系溶剤を使用したクリーニング業界において、新しい「水洗いクリーニング」のインパクトは決して小さくない。

 

⑤今まで以上のクオリティーのクリーニングサービス

水洗いをすることで、ドライクリーニングに比べ洗い上がりにシワが出るのは事実です。リクエでは最新機器とアイロン技術の向上により、今までの「手間がかからないで生産できるクリーニング」から「手間はかかるが細部まで手がかけられるクリーニング」へ変容しています。
こういった従来とは違うコンセプトのクリーニング店を創ることで、業界にとっての新たなスタンダードを作り上げ、「ファッションを楽しむためのクリーニングというメンテナンス」が今後も残していけるようにリクエは取り組んでいきます。
皆さんからのご意見とサポートが原動力になりますので、ぜひサポートの程よろしくお願いします。

 

ドライじゃないクリーニング 100%水洗いクリーニング リクエ